○大淀町不妊治療費助成事業実施要綱
令和7年3月31日
(目的)
第1条 この要綱は、不妊治療を受ける夫婦等の経済的負担の軽減を図るため、体外受精及び顕微授精による不妊治療(以下、「生殖補助医療」という。)並びにこれに併せて行われる先進医療(以下「先進医療」という。)に要する費用の一部を予算の範囲内で助成することに関し、必要な事項を定めるものとする。
(対象者)
第2条 本事業の助成の対象となる者は、以下のいずれにも該当する者とする。
(1) 生殖補助医療を受けた夫婦(事実婚含む。)であって、生殖補助医療以外の治療法によっては妊娠の見込みがない又は極めて少ないと医師に診断された者。
(2) 治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦。
(3) 夫婦のいずれか一方又は両方が助成を受けようとする治療期間の初日から申請日まで住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)に基づく大淀町(以下、「町」という)の住民基本台帳に記録されていること。
(4) 治療期間の初日の時点において、医療保険各法に基づく被保険者、組合員若しくは被扶養者であること。
(5) 本町に納付すべき町民税を滞納していないこと。
(1) 卵胞が発育しない等により卵子採取以前に治療を中止したもの。
(2) 夫婦以外の第三者からの精子・卵子・胚の提供によるもの。
(3) 借り腹(夫婦の精子と卵子を使用できるが、子宮摘出等により妻が妊娠できない場合に、夫の精子と妻の卵子を体外受精して得た胚を、妻以外の第三者の子宮に注入し、当該第三者が妻の代わりに妊娠・出産するものをいう。)によるもの。
(4) 代理母(妻が卵巣と子宮を摘出した場合等、妻の卵子が使用できない、かつ、妻が妊娠できない場合に、夫の精子を妻以外の第三者の子宮に医学的な方法で注入して、当該第三者が妻の代わりに妊娠・出産するものをいう。)によるもの
(5) 保険診療と保険外診療とを組み合わせて行ういわゆる「混合診療」による生殖補助医療等
(助成対象額及び回数)
第4条 助成対象となる費用は、次の表に定める。なお、当該不妊治療について法令若しくは条例の規定により補助の対象となる額(以下「高額療養費」という。)の支給及び付加給付を受けた場合は、当該合計額から当該給付額等を控除した額(その額に1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)(以下「負担額」という。))を助成対象費用とする。
治療の種類 | 助成金の額 | |
生殖医療 | (1) 保険適用対象治療 | 助成対象費用の2分の1以内の額(上限5万円) |
(2) 保険適用対象外治療(保険適用対象の上限回数を超えた治療) | 助成対象費用の2分の1以内の額(上限15万円) | |
先進医療 | 先進医療として認められている医療 | 助成対象費用の2分の1以内の額(上限5万円) |
2 文書料や個室料等治療に直接関係のない費用は対象外とする。
3 助成対象となる回数は以下に掲げるとおりとする。
(1) 保険診療で実施した治療に対する助成の回数は、保険診療における算定回数の上限と同じとし、初めて保険診療で実施した生殖補助医療の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満である場合は、保険診療により実施する胚移植術の回数が6回とし、40歳以上43歳未満であるときは3回に至るまでとする。ただし、令和7年3月31日以前に開始した治療において、すでに保険診療により胚移植術を実施している場合は、その残りの回数を上限とする。なお、「治療期間の初日」とは、治療計画を作成した日(治療計画を作成しない場合は、採卵準備のための「薬品投与」の開始等の日)をいい、「1回の治療」とは、治療計画の作成(治療計画を作成しない場合は、採卵準備のための「薬品投与」の開始等)から、医学的に当該生殖補助医療が終了する(「妊娠の確認」等)までの生殖補助医療の実施の一連の過程をいう。また、以前に凍結した胚による胚移植を実施した場合については、以前に行った体外受精又は顕微授精により作られた受精胚による凍結胚移植も1回とみなす。
(2) 保険適用回数の上限を超えて実施した治療に対する助成の回数は、1子につき胚移植術の回数が2回に至るまでとし、令和7年4月1日を起点として算定する。
(助成の申請)
第5条 助成を受けようとする者(以下「申請者」という)は、大淀町不妊治療費助成事業申請書(様式第1号)に次に掲げる必要書類を添付し、町長に提出しなければならない。
(1) 大淀町不妊治療費助成事業受診等証明書(様式第2号)
(2) 住民票の写し(発行後、3か月以内のものに限る)
(3) 医療機関発行の不妊治療に要した費用に係る領収書
(4) 医療保険の加入状況がわかるもの
(5) 医療保険各法の規定により高額療養費又は付加給付が支給される場合は、その支給額を証明するもの(限度額適用認定証の交付を受けている場合はその写し)
(6) 同意書(様式第3号)
(7) 前各号に掲げるもののほか大淀町長が必要と認める書類
2 交付の申請は、1回の治療ごとに行うものとし、治療終了日から1年以内に行うものとする。
3 通算助成回数の計算は出産(妊娠12週以降の流産又は死産を含む。)に至るまでごとに行う。その場合は、原則、町長は住民票と戸籍謄本等(死産届の写し等)で出生等に至った事実を確認するものとする。
2 町長は、前項の規定による決定にあたり、補助金の交付の目的を達成するために必要があると認めたときは、当該決定に必要な条件を付することができる。
(不正利益の返還)
第7条 町長は、偽りその他不正の手段により助成金の支払いを受けた場合は、町が支払った助成金に相当する額の全部又は一部を返還させることができる。
(その他)
第8条 この要綱に定めのない事項については、町長が別に定める。
附則
この要綱は、令和7年4月1日から施行する。
別表第1(生殖補助に係る治療の助成対象)(第3条関係)

別表第2(先進医療として厚生労働大臣が告示したものうち各治療内容ごとに追加的に実施される場合があるもの)(第3条関係)
先進医療(申請)技術名 | 技術の概要 | |
先進医療として告示されている不妊治療関連の技術 | ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術 (PICSI) | ヒアルロン酸を含有する培地を用いて、成熟精子の選択を行う技術。 |
強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術 (IMSI) | 強拡大の顕微鏡を用いて、成熟精子の選択を行う技術。 | |
タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養 (タイムラプス) | 培養器に内蔵されたカメラによって、胚培養中の胚を一定間隔で自動撮影し、培養器から取り出すことなく、正確な胚の評価が可能となる技術。 | |
子宮内膜刺激術 (SEET法) | 胚培養液を胚移植数日前に子宮に注入し、受精卵の着床に適した環境を作り出す技術。 | |
子宮内膜擦過術 (子宮内膜スクラッチ) | 胚移植を行う予定の前周期に子宮内膜のスクラッチ(局所内膜損傷を与える)を行い、翌周期に胚移植を行う技術。 | |
子宮内膜受容能検査1 (ERA検査) | 子宮内膜を採取し、次世代シークエンサーを用いて遺伝子の発現を解析し、内膜組織が着床に適した状態であるのかを評価する検査。 | |
子宮内細菌叢検査1 (EMMA/ALICE検査) | 子宮内の細菌叢が、正常であるのか、異常であるのか、またその菌の種類の組成を判断する検査。 | |
子宮内細菌叢検査2 (子宮内フローラ検査) | 子宮内の細菌叢が、正常であるのか、異常であるのか、またその菌の種類の組成を判断する検査。 | |
子宮内膜受容能検査2 (子宮内膜受容期検査(ERPeak検査)) | 子宮内膜を採取し、RT―qPCRを用いて遺伝子の発現を解析し、内膜組織が着床に適した状態であるのかを評価する検査。 | |
タクロリムス投与療法 (タクロリムス投与療法) | 反復着床不全に対して、免疫抑制剤(タクロリムス)の投与を行う技術。 | |
着床前胚異数性検査 (PGT―A) | 胚から一部の細胞を採取して染色体の量の解析を行い、染色体数が正常な胚を選択する技術。 | |
二段階胚移植術 (二段階胚移植法) | 先行して初期胚を移植し、後日、継続培養を行った別の胚盤胞を移植する技術。 | |
膜構造を用いた生理学的精子選択術 (マイクロ流体技術を用いた精子選別) | 特殊な膜構造を用いて、成熟精子の選択を行う技術。 |





